明けましておめでとうございます、あるいは健全なコミュニケーションについて
- 2017年1月12日
- 読了時間: 9分
皆さま、旧年中は大変お世話になりました。各所にご迷惑とご心配を山のようにおかけしながら過ごした2016年でした…今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
年賀状は、実家の方に届いていたものはケイコ(久しぶりに登場?母です)が写メって送ってくれました。遠くにいるのをいいことに(?)今年は私は一枚も出せなかったなぁ…と思ったら今日なんと高松にいる友人から年賀状が届きました、送ろうと思えばちゃんと届くものなんですね、自分の不精を反省しつつとってもありがたく受け取りました。

こちらは、年末に日本からパリに遊びに来ていた学生時代の友人のお土産。おかげさまで季節感のまるでない私の部屋にも正月がきました。「今年もいろいろ頑張ってね」とのことで受験生仕様の必勝祈願鏡餅だそうです。
今年頑張りたいことはたくさんあるけど、何よりまず、フランス人とフランス語で複雑なおしゃべりをしたい!フランス人同士の会話にも参加したい。そして語学力の不足による効率ダウンを防ぎたい。
現在のフランス語力でも路頭に迷ったり大損をしたりということはないし、周りの人と友好的な関係を保つことはできていると思いますが、例えばそれはステレオタイプに友好的な会話をしたり、その場面でいかにも言われそうなことを予測したりしているだけであって、思わぬこと、刺激的なことを言う面白い人と深い会話をすることができているとはいえません、悔しい。
そして自分の能力不足によって人に迷惑をかけることはなるべく避けたいと思うのと自信がないのとで、行動の効率がダウンしがち。
今日は大小のダブルパンチをくらったので、長いけど、自戒のメモをば。
パンチいっこめ(小):
日本で入ってきていた住宅保険が切れたのでこちらで新たに銀行が提供している学生用の保険に入ろうとしているのですが、そのための書類を大家さん(フランス人のおばあちゃん)に揃えてもらわなければいけません。きょう家賃を払いに行くついでに受け取ろうと思ったものの、事前に電話で「こういう事情でこういう書類が必要なので次行くときによろしくお願いします」と穏便に言う自信がなく、直接会ってお願いしたら伝わったけれど、その場で探してもなかなか出てこず、その書類を受け取るためだけに後日わざわざまた大家さんの家に行く羽目に。近いからいいんだけど、これ、十分しゃべれたら、あるいはしゃべることに自信があったら、省けたはずの手間だよね。
パンチにこめ(大、てか長):
夜22時までピアノ弾き放題だった練馬のマンションが懐かしくなるほど、パリの音出し事情は厳しいです。いまは家では17時までしか音出せないので(それ以降はサイレントで練習)、歌い手との合わせもコンセルヴァトワールの部屋を借りてやっているのですが、水曜日はパリの小学校がみんな半ドンの日らしく、したがってコンセルヴァトワールで子供の授業やレッスンがたくさんある日なので、大人の生徒は水曜日は練習室難民になることが非常に多いです。
それでもどうしても今日しか空き時間が合わなかったソプラノの子と、「もしクルヌーヴのコンセルヴァトワールの部屋がとれたら12時から練習しよう」と約束していました。クルヌーヴというのはパリの北のほうの郊外、シャルルドゴール空港に行く途中あたりにある、治安のわるーいにおいのするところです。
11時過ぎ、まだ私がクルヌーヴに向かって出発する前にその子から電話がかかってきて、「部屋は15時からしか空いてないそうだけど、15時は無理よね?」とのこと。それは無理、今日クルヌーヴに行けるとしたら12時〜14時か、18時以降だよ、と言うと(言ったつもり)、「じゃぁあとで18時以降にどこか部屋がとれるかコンセルヴァトワールに電話して確認するね、また連絡する」と(たぶん)彼女は言うので、「ありがとう、よろしく」と電話を切った。
「コンセルヴァトワール」は、たくさんあります。のだめが行っていた有名な国立の音楽院から、パリ地方音楽院、パリ市内にある区立の音楽院、そしてこの郊外のクルヌーヴのも、全て「コンセルヴァトワール」。そして、区立の一つのコンセルヴァトワールに登録してあれば、パリ市じゅうどこの区立のコンセルヴァトワールの練習室でも使えるので、私たちはいつもその日の都合に合わせていろいろな区のコンセルヴァトワールを転々として練習しています。だから私は、彼女がパリ市内のどこかのコンセルヴァトワールにダメもとで電話で確認してくれるってことだな、と思いました。
パリ市内でよく私たちが使っている音楽院ならたいてい30〜40分もあれば行けるので、17時くらいに連絡くれればどこであれ間に合う。
でも、待てどくらせど、電話もSMSも来ない。
17時を20分くらい過ぎたところで、これは私がさっきの会話を聞き間違えて、勘違いしてるんじゃないか?という不安が確信に変わり、連絡が来ないのは、「コンセルヴァトワール」と彼女が言ったのがクルヌーヴのことを指していて(きっと定冠詞かなんかついてたんだ、それにクルヌーヴにいるはずなのに「電話で確認」と言ったのはきっと聞き違えたんだ)、彼女は「じゃぁ18時から練習しよう、待ってるね」と言ってたんだきっと、そうに違いない、と思い始めました。別件合わせで午前からずっとクルヌーヴにいたらしい彼女を18時まで待たせておいて、遅刻はマズい!彼女は妊娠中なのであまり疲れさせたくないし、でもパリの西のはじっこにある私の家からクルヌーヴは1時間くらいかかるので、マズい、これはマズいもう確実に遅刻だ!!
もし、彼女の携帯が電池切れとかで連絡できないだけだとしたら。もし、今日の合わせはなしにしよう、明日直接レッスンで会おうと言ってたんだとしたら。もし、…
という一抹のというか二抹か三抹の疑念はありましたが、それにしても妊婦を治安の悪いところで、それも私のフランス語力不足のせいで延々と待たせるよりは無駄足した方がましだ、と思って、課題の準備で忙しかったけど、ほんとに忙しかったけど(これ書いている今もそれ終わってないけど)、猛然と出発しました。
…これ、出発する前に正直に確認すればよかったのかな?確認しないのは見栄っ張りだったかな?「いらないところで変な見栄を張るのがよくない」といつも言われるし我ながらよくそう思うけど、とはいえ、17時20分にもなってから、「合わせ、18時からクルヌーヴでやるんだっけ?」って聞くのはあまりにもバカみたいじゃない?
会話の内容に自信があれば、彼女が連絡をさぼっているんだとちゃんと判断して、「18時からの部屋、あった?」と率直に聞けばよいところ。でも自信がないから、「18時からの部屋、あった?」とか、「どこでやるの?」とか、聞けませんでした。
で、結果としては、無駄足でした。
約束の(はずの)18時を迎えたのは電車の中。通常の合わせであれば、先に部屋に入っている方が「◯◯号室にいるよ」というメッセージを送るはず。電車で携帯を握りしめていたけど、そして連絡がきたら遅刻をどうやって謝るかを作文しながら待っていたけど、携帯鳴らず。治安の悪いところを殆ど走るようにして15分遅れくらいでコンセルヴァトワールに到着して、でも結局「18時からクルヌーヴで練習」という約束自体に自信がないから、「着いたよ、部屋どこ?」とは聞けない。もし私の勘違いでここに来ているなら、片道1時間もかけて無駄足したのが彼女にわかってしまうのは私としては本当に情けないし、彼女が申し訳なく思ってくれてしまうだろうのも嫌だし、ということで為すすべなく、いたたまれないほど狭いロビーのような踊り場のようなところで雑用(関係ないメールの返信とかスケジュールチェックとか)をしながら待つこと約30分。練習室は空いてそうだったけど、入ってしまうと電波が悪くなって連絡とれなくなりそうだから断念。さすがにそろそろ帰ろうかな、と思って、意を決して、しかも私がクルヌーヴに来てしまったことが露見しないような文面を考えに考えて、「さっきの会話を私が聞き間違えたんだと思うんだけど、どうすることにしたんだったか、確認させて!」というメッセージを彼女に送ってみました。しかし反応なし。
またこわい道を走るように戻って、帰りの電車、それもかなり家に近くなってから届いた返信(拙訳):
「きょうは私は午前中にクルヌーヴに行って合わせをしてて、夜は19時から21時なら部屋があいてると受付の人は言ってたけど、もう一度クルヌーヴまで行く気がしなくて。赤ちゃんいるし、今晩は休まないといけない。ごめんなさい、もしあなたがよければ、明日レッスンで会おう」とのこと。。。
!!!
ということは、、彼女はあの電話で「もし空いてたら連絡する(いい時間に空いてなかったら別にこのまま連絡しない)」って言ってたのか!ごめんごめん勘違い、しかも彼女に謝らせてしまった!と思い、
「こっちこそごめんなさい、勘違いしてた、フランス語もうちょっとなんとかしなきゃね」と言ったら、
「ゆーこは勘違いしてないよ!」
…え?
すなわち、
「私が部屋があるか調べなきゃいけなかったのに、疲れてて、しかもたった1時間の合わせのために二人ともわざわざ出かけるというのが気が進まなかったの。ゆーこはフランス語十分がんばってるよ!」と。
要するに、昼の電話で私が言ったつもりのことは伝わっていたし、私が聞き取ったつもりのことも合っていたし、私は自信を持ってシンプルに「部屋あった?」と聞けばよかったのだし、彼女もシンプルに「部屋はクルヌーヴで19時から21時しかないって、それはちょっと遅いしめんどくさすぎる」と言えたし、出かけなければ私はこの2時間半練習できたわけだし、暗い中をダッシュする必要もなかったのだし。
いろいろ考えて無駄足した方がまし、と思って出発したけど、無駄足は無駄なのであって、本当は無駄足しないのがいいに決まっています。
ひとりでクルヌーヴくんだりまで無駄に行ったことは、とりあえず彼女には言えません、まだ笑えない、というか、うまく笑いに持っていくニュアンスで話すフランス語力がない。
彼女に対しては、そんならそうと早く連絡ちょうだいよー!と軽くつっこむ以上の文句を言いたい気持ちは全くなくてこれからもこれまで通り仲よく音楽をやりたくて、
つまり問題が大きく感じられるのは彼女のためでは全くなくて、
言葉の力の不足、そこから来る自信のなさ、おそらくそれに加えてつまらない私の見栄、は、コミュニケーションを(私にとって)恐ろしく複雑にしてしまう。
でも、考えてみると、これに似たことは日本でも味わったことがあるような気もしてきました。自信がないのと見栄を張るのとで(山月記かよ)、二重にも三重にもぐるぐる無駄に考えて、結果、することは不自然な、小賢しいこと、あさましいことでしかなかったり、結局どんどん自分を惨めにするだけであったり、それが喜ばせたかった相手を苛立たせるだけであったり、そんなことがあったような。
フランス語を頑張りますという宣言の一端のお話でしたが、フランス語に限らず、何ごとも自信、自信を生むだけの努力と実力、がないと自分にとっても他人にとっても健全なコミュニケーションはできないんだな、と思った1日でした。
2017年のもう一つの目標、積極的にビズをする!は順調に達成しつつあります(笑)ビズされたくない人は私を見たら遠くから話しかけてください。
…さて、課題やろ。






コメント